Re:Anth

「ラベルに品種名を入れるべき」というご意見に対して

アンスリウム

先日「商品のラベルに品種名を入れて欲しい」というコメントをいただきました。
いろいろとご意見はあるかと思うのですが、当園としての方針をここで述べておこうと思います。

結論、「当園は引続き品種名ナシの汎用的ラベルを使う」ということです。
過去の背景を交え、思うところをまとめました。

どれだけのお客様が品種名を気にするのか

まず考えたのは、「どれだけのお客様が品種名を気にしているか」ということです。
実は以前は品種ごとにラベルを作っていました。
AにはAの品種が明記されたラベルを付け、BにはBの別のデザインのものを使っていました。
当時は卸売市場にしか商品を出しておらず、品種指定をされることもほとんどありませんでした。
せいぜい色指定があるくらいで、「赤色なら品種はなんでもいい」といった要望ばかりでした。

個人相手の商売となると事情は変わるのかもしれませんが、
品種名が明記されたラベルを希望されるケースは1000件に1件あるかどうかです。
複数の鉢をご注文されたお客様から、
「品種名がわかるようにしてほしい」というご要望をいただくことはあります。
その場合はメモを残す程度で、ラベルはそのまま品種名ナシのものを使っています。

個別に品種名を印字したラベルはコストがかさむ

私がラベルの品種明記をやめた理由の一つがこれです。
個別に品種名を印字したラベルはコストがかかります。
というのも、ほぼ全ての品種において事前に用意したラベルが一定量余ることになるのです。
余ったラベルは他の品種には使えませんから、品種名部分を修正テープで消します。
その上に手書きで書き直して再利用します。
想像されるとわかると思いますが、手作り感がとてもダサいです。

見た目がよく似た品種の場合、こっそり別の品種名のラベルを挿して出荷することもありました。
それでも使えないラベルは廃棄していました。
ちなみに、これくらい雑な対応をしていても特にクレームが来たことがありません。
ラベルの存在感なんてそんな程度ということですね。
そんな理由から、「もう品種名ナシのラベルに統一したら?」と思い、今に至ります。

ラベルを個別に用意する分は構わないのです。
お客様がそれをお求めになるのであれば。
でも、「その分価格を100円ずつ上げます」となったら、お客様はどちらを選ばれるでしょうか。
「同じ価格で対応するのが筋」というのは論理が通りません。
「数あるラベルから適切なものを選ぶ」というオペレーションを1つ加えるのもコストです。
これを天秤にかけ、当園としてはコストを下げる方を選択しています。

そのラベルの品種名は本当に合っているのか問題

コメントをくださった方は、普段ラベルの品種名を参考にして買われているとのことでした。
でも、そのラベルの品種名と刺さっている鉢植えの品種が本当に合っているかは、
どうやって判断するのでしょうか。

先述の通り、生産者が出荷する時に「まぁいいか」と違うラベルを挿す可能性もあります。
流通過程でポロッとラベルが取れ、異なる品種の鉢に挿し直されて店頭に並ぶかもしれません。
そもそも生産者が品種えらびを間違えるかもしれません。
ラベルにある品種名の信憑性なんてそんなもの程度に考えておくのが妥当な気がします。

個人向けの商売なら、卸売市場への出荷とは異なり一度に用意する鉢数が減ります。
そのため、適切な品種・株選びが上手くできそうな気がしますね。
そんなわけで、当園で直接商品をお求めになる方は、安心して品種指定をしていただければ良いと思います。

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