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花屋からアンスリウムが消えていく理由

アンスリウム

前回は、生花店の「冷え切った環境」が熱帯植物であるアンスリウムにとっていかに過酷であるか、という裏事情をお話ししました。
切り花を「保存」するための温度が、アンスリウムの「生育」を止めてしまう——。
この決定的なミスマッチが、買ってきたばかりのアンスリウムが元気をなくす大きな原因でした。
連載第2回の今回は、さらに一歩踏み込んで、街の花屋さんを取り巻く「構造的な変化」と、
これからの時代の「賢い植物の買い方」について考えていきます。

町の花屋から鉢植えが消える日

温度の問題に加えて、物理的な問題もあります。
町の小さな生花店にとって、鉢物は「場所を取る」厄介な存在になりつつあります。

  • 店舗側: 売上の半分以上は切り花。かさばる鉢物を置くスペースがもったいない。
  • 客側: 大きな鉢植えを持って帰るのは重くて大変。

こう考えると、「店舗からアンスリウムのような鉢花が徐々に置かれなくなっていく」のは、
ある意味で時代の必然なのかもしれません。

時代に合わせた「変化」を楽しむ賢い買い方

でも、これは決して悲観することではありません。
重たい鉢植えを苦労して持って帰る時代から、「生産者や専門店から、直接自宅へ届けてもらう」時代へとシフトしているだけなのです。
またネット通販の最大のメリットは、利便性だけではありません。
植物の健康にとっても理にかなっています。

生産者の温室(最適な温度・湿度環境)から、
直接あなたの家のリビング(暖かい環境)へ届けることができるからです。
途中の「寒すぎるショーケース」を経由しない分、植物へのストレスは最小限で済みます。

まとめ:生産者としての想い

街のお花屋さんが悪いわけではありません。
彼らは彼らのプロフェッショナルとして、切り花の鮮度を命がけで守っています。
ただ、アンスリウムとは「住む世界(温度帯)」が違っただけなのです。
これからは、こんな使い分けがニュースタンダードになるかもしれません。

  • その日の食卓を彩る「切り花」は、街のお花屋さんで。
  • 長く一緒に暮らす「鉢花」は、信頼できるネット通販で。

私たち生産者も、この時代の変化に合わせて、
より良い状態で皆さんの手元にアンスリウムを届けられるよう、進化し続けていきます。

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