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写真では色味がなかなか伝わらない

アンスリウム

「思っていたのと違う」というクレーム

最近「事前に送ってもらった写真と現物が違う」というクレームをいただいた。
色味が思っていたのと違うそうだ。
お詫びして代品をお送りしようと思ったのだが、先方は目が不自由らしく、写真ひとつで商品の善し悪しを伝えきれないと判断し、結局キャンセルさせていただくことにした。

食べ物の味と同様、花の色味を写真で伝えるのはなかなかに難しい。
撮影する場所や時間、光の差し込み具合によっても異なるし、今回のように株の向きによっても印象はガラッと変わる。
もちろんお客様の手元に届いた時の証明の具合によっても変わる。
できるだけ商品の色味が写真に残せるように撮影時間を工夫したりするのだけど、それでもなかなか難しい。

オンラインで買い物をすることの限界

そもそもオンラインショッピングで花を買うことを、実店舗で自身が実際に選んで買うことに近づけるには限界がある。
オンラインショッピングでは事前にモノを確認できない上に、植物は生き物なので、同じ草姿の商品は2つとない一点ものだから。
写真で伝えるにしても「こんな感じです」と伝えることが精一杯。
そんな中でも、写真とまったく同じものを求めるお客様がいるもの事実。
そのようなお客様は生花店で購入されたほうが良いように思う。
実物をその目で見ることほどの正確性は他にないのだから。

当園では希望者のみ、LINE経由で発送前の写真をお送りすることにしている。
自身で商品の確認をせずに他人に発送してもらう時にはとても心強い情報だ。
手間はかかるが、少しでも安心してオンラインでの買い物を楽しんでほしいと願ってのサービスだ。
特に贈り物として購入いただく時によく希望される。
写真を送るととても喜んでもらえる。
「あ、こんな感じのものが届くのね」といった安心感を持っていただけるのだ。

発送前の写真データは輸送事故が起きた時にも役に立つ

宅急便で荷物を発送すると、稀に輸送事故が発生する。
運んでいる最中に箱が横倒しになってしまうといったケースだ。
多少の揺れに対しては梱包材でなんとかなるが、箱そのものが倒れてしまった場合はどうしようもない。
その場合はひとまず問い合わせをいただくようにしていて、破損品の回収と代替品の発送という形で対応している。
時折「傷だらけの商品を梱包された」とお怒りになる方がいる。
さすがに当園でそれをやるメリットが無いので、輸送中についた傷ですよと説明をさせていただく。
その時に発送前の写真データが役に立つ。
梱包前の商品には傷が無いので、当園を出発してからついた傷だと分かるからだ。
工業製品だとそれほど気にしなくてよいのだけど、花はそうはいかない。

お客様にはお店側にお願いして、ぜひ事前の写真を共有してもらうようにしてもらいたい。
少し手間はかかるが、それがお互いに取って良い結果になるように思う。

おわりに

新型コロナウィルスの蔓延により、オンラインでの買い物が市民権を得たと思う。
でも、市民権を得たとはいえまだまだ発展途中の買い方だ。
買う側も売る側も、双方にとって気持ちの良い取引になるようになってほしいものである。

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