先日の品種検討会で出た質問について、今日はもう少し深く考察してみようと思います。
アンスリウムを育てていると、写真のような「咲いている花が枯れる」場面に出遭います。
生き物ですので花が枯れるという現象は当たり前のものです。
その一方で、枯れ方を見るとお手入れ方法の課題が見えてきたりします。
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上手くお手入れができていれば、種子ができて緑化する
適切なお手入れができていれば、アンスリウムの花は最後には黄色い種子を作り花全体が緑化します。
受粉をするためにミツバチをおびき寄せるために、花は鮮やかな色になります。
花という器官は、受粉し次世代の子(種子)を作ることが役割です。
そして、種子ができれば花という器官は役割を終えます。
アンスリウムの場合、その役割を終えた状態=緑化というわけですね。
緑化した花は「老け花」と呼ばれ、多くの場合緑っぽさの強い見た目になります。
また、鮮やかな色を持つ若い花に比べ、水気が失われた堅い手触りになります。
植物を初め多くの生き物にとって水分は重要です。
緑化した花は、株全体ができる限り水分を消費しないように堅い組織になるわけですね。
若い世代の邪魔をしないようひっそりと生きる姿勢がなんと殊勝なことか。
この緑化した花は、適切なお手入れができていればそのまま枯れずに残ります
エネルギーを消費しない器官なので、株としても「残っていていいよ」と判断しているのでしょう。
※花の色については過去の動画にてまとめて解説しています。
緑化前に花が枯れるのは、水管理の失敗が原因
いろいろな場合が考えられるでしょうが、基本的にこう言い切って良いと考えます。
花は養水分を大量に消費する器官です。
そのため、株が水分不足になると花を枯れさせて落とすことで水分の消耗を防ごうとします。
そういう理屈から、花が緑化前に枯れるのは水管理の失敗を疑いましょう。
例えば、つい土を乾かしすぎてしまったとか、ハダニが過去に発生したことが原因で水やりを控えめにしていたとか、そういう場合は花が黄色く枯れやすいです。
写真の右下のように、花が紫っぽい色味を帯びて枯れるという場合もあります。
これは菌が原因であると考えます。
具体的には、水やりのしすぎて根腐れが起きたり(腐敗菌)、夏の暑い時期に花弁の表面の傷から菌が侵入してきたりといったケースです。
花が枯れることは、お手入れ方法を見直す良いきっかけになる
これまでからお伝えしてきた通り、花が枯れることは日頃のお手入れ方法に何らかの原因があります。
花が枯れることは残念ではありますが、自身のお手入れ方法を見直す良い材料になるかと思います。
一時的に花が枯れることにはなりますが、お手入れ方法が改善されて株が回復してくると、新しい花を咲かせてくれます。
他の植物には「枯れたり終わり」というものもありますが、アンスリウムはある程度まではやり直しが効く植物です。
ぜひ花が枯れるという事象を前向きに活用していただくと良いと思います。