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(お手入れ)花芽のアボーション(花飛び)

アンスリウム

前回に引き続き、暑い時期に起きやすい現象について今回も解説します。
今回は「アボーション(花飛び)」についてですね。
通常新しい花が咲く時は、株元から蕾が出て来ます(写真左)。
しかし、暑さや乾燥などのストレス環境では出てきた蕾が開花前に枯れることがあります(写真右)。

アボーションは暑さ以外が原因でも起きる

過去の動画で、暑い環境で起きやすい現象についてまとめました。
アボーションもこの中に含まれる現象ですね。
私が大学で勉強していた時は、「アボーションは暑すぎる環境で発生する」と教わりました。
ただ、私は「乾燥」が原因でも起きるのではないかと最近考えています。

このアボーションですが、夏以外の季節でも割と起きることがあります。
育て方について問い合わせを受ける時に写真をいただきますが、一部の方の写真にはアボーションと見られる枯れた蕾が見られました。
どこかのタイミングで土をかなり乾かしてしまったとか、水やりの時の水が不足している状況が続いているとか、そういうことがあると後になって出てきた蕾がアボートするようです。

アボーションが起きると1-2ヶ月毎に咲く開花サイクルが狂う

アンスリウムの株が育つ時、まず新しい葉が展開し、その後同じ場所から花芽が形成されます。
正確には、同じ場所から葉→根→花という順番で作られていきます。
この3器官がひとつのコブ(Phytomer)となり、このコブが上に上に積み上がっていきます。
数年レベルの長い期間同じ株を育てていると、むき出しになった茶色い茎が上へ伸びていく様が見られます。
これはPhytomerがどんどん積み上がって行った姿ということですね。

そのため、アボーションが起きるとその花の部分が株から欠如します。
アボーションが起きた株からは次に「葉」が出てきます。
そして、上手くお手入れできていれば、次の「花」が形成されていくでしょう。

アボーションには良い面もある

ちなみに、アボーションによって花数が減る現象には実は良い面もあります。
それは「その後に咲く花が大きくなる」ということですね。
ぶどうなどの果樹は、不要な実を間引く摘果処理を行うことで残された実を大きくするという工程を踏みます。
それと同じ現象が次に咲く花に起きるわけですね。
もちろん大輪系の品種を選ぶ必要はありますが、大きな花を咲かせたい場合は敢えてアボーションを起こさせるという考え方もあるかと思います。

まとめると

記事を書きながら感じましたが、「選択と集中」という言葉は大したものですね。
何を残して何を捨てるかは人生においても大事な考え方だなと思いました。

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