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【ひとりごと】花の価格がここ30年変わっていない件

アンスリウム

お正月の三が日、息子たちに500円玉を持たせて駄菓子屋に一緒に行きました。
その時店頭に並んでいたお菓子の価格の変化が衝撃的でした。
お菓子がすごく高くなっているのです。
私が子供の頃20円だったものが、35円になっていました(おそらく容量は当時より減っているはず)。
昔は200円あれば満足の行く量のお菓子が買えていた記憶があります。
それが今では500円でも十分な量を買えなくなっているなと、時代の変化を感じました。

お花の価格がここ30年ほど変わっていない

身近な日常品にこれだけの価格上昇を感じると、日頃扱う花の「価格」に関心が行きます。
実はバブルがはじけてからのこの30年、花の価格はそれほど変わっていません。
駄菓子はこの30年で75%以上値上げされた(20→35円)ことになります。
ところが、花に関しては価格がほとんど変わらないままなのです。
最近のコストプッシュ型のインフレを受け、多少の値上がりは起きています。
それでも、花は大きく価格を変えていません。
駄菓子の値上げ幅に照らせば2倍近くになっていてもおかしくないはずなのに、です。

バブルの頃はおかしな価格で飛ぶように花が売れたそうです。
当時より輸入花の量も増えていますので、今と30年前とは状況が違う点も多いです。
そのあたりを差し引いて考える必要があるとは思います。
花というジャンルが日用品化し、当時高かった価格が落ち着いたとも考えられるでしょう。
なので、価格が変わっていないことへの理由はいろいろあると思います。
それでも、価格が変わっていないことへの気持ち悪さはなかなかに晴れません。

作り手が売ることに無頓着だから、卸売市場や花屋に搾取される

個人的には、花の価格が変わらない理由は作り手側にもあるのではないかと思っています。
30年前に比べて、花を育てるための資材費はかなり値上がりしているはずです。
原材料費の高騰に比べて価格が変わっていないので、作り手が儲かっていないことになります。

業界に入ってずっと思っていることですが、この業界の作り手のほとんどは売ることに無頓着です。
作ることにはすごく力を入れているのですが、30年間同じことをずっとやっているところが多いです。
そして、作った後のことは考えない人が多かったりします。
自分の作った商品の値付けを市場や花屋に任せきりにしている人がとても多いのです。
自身の商品の良さだったり、他の違いだったり、買うべき理由についてのアピールが弱いので、利益の美味しいところは小売をしている花屋に持っていかれてしまいます。
結果儲からない商売をしている=価値のある仕事ができていないということです。
自身も関わってくれている人達も不幸になりますし、非常に不健全なことです。

コロナ禍は淘汰されるべき事業者をあぶり出した

昨年からコロナ融資の返済が始まっており、返済できない事業者の倒産が急増しています。
実は農業界でも廃業する方が増えています。
原材料の高騰に対し販売価格が合わず、採算が悪化したという方が大半です。
時代に合わせて変わっていけないところから先に潰れていくのは世の常です。
こういうプレイヤーの入れ替わりは業界にとっては良いことだと思っています。

ちなみに、税理士や金融関係者の間では「コロナ融資は延命措置だった」と言われています。
要は、倒産すべき事業者は既にコロナ融資時からおおよそ決まっていたということですね。
融資の際も、資金の使い方がすごく見られていたそうです。

世の中の流れを見ながら、必要に応じて変わっていく努力

私は営業出身者ということもあって、お客さんの反応にとても敏感です。
お客さんとのやり取りから、世の中の変化を感じ取ろうとしています。
当園を応援してくれている方はたくさんいます。
そういった方に応えるためにも、時代遅れと言われないように、自身も事業も日々変化させていきたいなと思います。

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