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(ひとりごと)贈答品における生き金と思考停止

ひとりごと

贈り物にアンスリウムを検討される方が増えました(こちらからオーダーできます)。
もちろん当園のアンスリウムを選んでくれる方が多くなったことは喜ばしいことですが、時にはアンスリウムではないものを選んだ方が良い場合もあります。
そのような場合はやんわりと断るようにしています。
植物に予算を使っていただくなら、それが生き金になるような使い方をしてほしいからです。

「これさえ選んでおけばいい」という思考停止

贈り物の世界では「お決まりとして選ばれるモノ」が存在します。
生花業界で言えば「胡蝶蘭」、結婚式の引き出物で言えば「カタログギフト」、飲み屋の一杯目なら「ビール」…このあたりがよく出てくる候補でしょうか。
どれもまず間違いのない(失敗しない)品物であることは確かです。
ただ、それは同じ方に贈り物をしようと考えるお隣さんも考えています。
その結果同じような物が相手に届くということはよくある話ですね。

贈り物を贈るという行為は、贈った物そのものよりも「何を贈ろうかと考え悩んでいる時間」にこそ大きな価値があるものです。
その時の苦労話を聞くと、「私のためにここまで選んでくれたんだ」と感激します。
この場合、贈り物選びに使ったお金や時間以上に、相手は喜んでくれることでしょう。

一方、「ひとまずこれさえ贈っておけば問題ないだろう」という前提で選ばれた贈り物にはそのストーリーがありません。
またその妥協的な考えは相手に意外と伝わるものです。
この場合、使ったお金は死に金になってしまうことになります。

贈り物としてのアンスリウムにも弱点はある

ライバル批判をしていると思われそうなので先に断っておくと、
私はアンスリウムの作り手なので、アンスリウムを選んで欲しいという思いは強くあります。
ただ、時には相談相手に他の商品を勧める場合もあるのです。
ひとつは予算重視でアンスリウムを選ばれた場合、もうひとつは秋以降の時期に相談された場合です。

前者は予算額ばかり重視して贈り物選びをされている方に多い相談です。
贈答品レベルになると、アンスリウムはかなり大きなサイズになります。
相手がお歳を重ねている方なら、大きなものをもらっても扱いに困る場合が多いのです。
その場合は、予算を減らして相手が扱いやすいグレードに下げることを提案します。

後者は贈る相手や贈り主がアンスリウム好きだった時によくいただく相談です。
また秋以降はアンスリウムにとってあまり良い時期ではありません。
低温が原因で、届いてすぐに枯れてしまうと非常に残念なことになります。
贈り物を選び間違えたことに対し相手ががっかりすることはもちろん、その枯れてしまった残骸の処理もしないといけなくなります。
贈る相手が育て方を熟知されているというケースもありますが、多くの場合そうではないため、基本的に「今の時期は胡蝶蘭にされた方がいいですよ」と提案をすることにしています。

ネットで贈り物ランキングを調べるよりも相手のことを考えよう

インターネットで贈り物を検索すれば、何が人気がすぐに答えが返ってきます。
ただ、それだと贈る相手は置いてけぼりにされてしまいます。
せっかく贈り物を贈る機会があるのに、それはもったいないことですね。
相手が何を欲しがっているか、何を贈れば喜んでもらえるかを考えるのがとても大事だと思います。
考え抜いて出てきたその贈り物の候補は、きっと相手も喜んでくれることでしょう。
ぜひ使ったお金や時間を生き金・生き時間に変えていきたいものですね。

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