Re:Anth

(考察)インフレで花の価格はどう変わっていくか

アンスリウム

インフレが世の中を襲い始めてしばらく経ちます。
「通貨はインフレするもの」という歴史があり、基本的に時間とともにモノの値段は上がります。
しかし、長らくデフレが続いた日本ではモノの値段は上がっていません。
「しばらく待てば価格が安くなるだろう」というデフレマインドが定着してしまっています。
その逆の「今が一番安い。だから今買おう」という考えがインフレマインドです。
日本人はお金の勉強をしないくせに、お金そのものが好きな民族です。
「お金さえあれば人生は薔薇色」と考える人が決して少なくない一方、「お金は汚いもの」と教える大人もいます。
お金は手段なので、人生を良くするために賢く使いたいものです。

インフレなのに価格が上がらない花業界

以前別の記事でも書きましたが、花業界は価格が上がっていません。
冒頭にも書いた通り、インフレんによってモノの価格は基本的に上がっていきます。
昔はコンビニで数十円で売られていたおにぎりは、今では二百円近くになっていますね。
その一方で花の価格はここ30年ほど変わっていないのです。
言い換えると、世の中に出ている花の価値が下がり続けていることになります。

まぁ、これに関してはいろいろな理由が考えられます。
農作物は鮮度が命ですから、時間とともに鮮度が下がる=価格が下がるという考え方もあります。
その一方で、生産者がこぞって世の中に同じものを長年出し続けていて、一向に新しい目新しい商品を作っていかないということも原因でしょう。
同じことをずっとやって食っていける業界なんて、農業界くらいじゃないでしょうか?
それくらい農業界・園芸業界というのは変化が遅いんです。

また職人気質である生産者はアピールが下手くそというのもありますね。
商品に変化を加えてもそれを積極的にアピールしません。
「良いものさえ作っていれば、お客さんが気づいてくれる」という意識が根強いです。
なので、消費者も「えっ!?変わってたの?」と気づかれないという場面も多々あります。

価格は短期的には下がり、長期的には上がる

先日卸売市場の担当者と話していて感じましたが、生産者というのは実に弱い立場です。
多くの生産者は売り込む力がなく、既に生産が完了した商品をどう捌くかに考えが終始します。
そうなると、安くても良いから商品をばらまいて捌き切るという動きをしがちです。
その結果、商品の値段が下がっていきます。
生産者は在庫を減らさないと来年の準備ができませんね。
なので安かろうが出し続けないと事業が回りません。
仕入れ側もそれをわかっていますから、安く買い叩く業者が出てきますね。
結局「安く売る」ことしかできていないのが多くの生産者です。

そこにコストプッシュ型のインフレが襲っていますから、生産コストは上がり続けています。
その結果、経済的な体力がないところからバタバタと倒れて(倒産して)いくことになります。
「この業界はここ数年持久戦になりそうだね」という話を両親ともしています。
ここ数年はその安売りによって価格が下がり、プレイヤー(生産者)が淘汰されていきます。
その後流通量が減り、プレイヤーがガラッと入れ替わって新しい顔ぶれになった後に、価格が戻ってくる
と思います。

「安いから買う」をやめて「欲しいから買う」へ

共感していただけると思いますが、値段(安さ)を理由にモノを買うとだいたい失敗します。
安さが売りのセールイベントが代表例ですね。
セール品で買ったものって、だいたいその後使わなかったりしませんか?

以前耳にして以来、私が好きな言葉があります。
「安いから」を理由に買うと失敗する。「高いから」を理由に買わないのは概ね正しい。
という感じのものです(正確な言葉は覚えていません)。
この言葉は言い得て妙で、買い物の本質を示しているなぁと。

最近は安さが売りの商品ばかり出回っていますから、「(値段関係なく)欲しい」と思ってもらえる商品作りを今後も心がけていきたいものです。
願わくば、そういう魅力的な商品がもっと世の中に出回って欲しいものですね。

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