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(お手入れ)支柱の多さは自信のなさの表れか?

アンスリウム

店頭に並んでいる鉢植えの株元を見ると、支柱で株が固定されている様を見ることができます。
生産者が出荷する時、または生花店が手を加える時などにセットされる支柱ですが、この扱いが最近変わって来ている気がします。

使われる支柱の本数が減ってきている

ここ数年の動きを見ていると、鉢花1鉢あたりに使われる支柱の本数が減ってきている気がします。
一般的に支柱は花を固定する時に使われます。
一昔前は多くの支柱で花をガチガチに固定するのが当たり前だった一方、最近はできるだけ使わない方向に進んでいるように思いますね。
原価高騰の影響ももちろんあるでしょう。
でも、最近は支柱をまったく使わないで出荷して欲しいという生花店も出てきています。
個人的には「株がグラグラして不安定なのでは?」と思いますが、その自然な感じがいいのだとか。
まぁ、こちらとしては資材を使わなくてですし、出荷時の手間も省けて良い話です。
もちろん、背の高い株などは支柱をしないと倒れてしまいます。
こういった要望は背丈の低い商品に限定される話です。

支柱の使い方によっては花持ちに影響する

株が伸びてくると、どうしても支柱を使わないと上手く草姿が維持できない場合もあるでしょう。
こちらの記事にも書きましたが、お手入れは重要です。
でも、基本使わなくて済むなら使わない方がいい、というのが私の持論です。
理由はいくつかありますが、一番大きな理由は支柱の使い方によっては花持ちが悪くなるからです。

支柱はビニールで覆われているとはいえ、硬い材質のものです。
それを茎に巻きつけると、どうしても傷がついてしまうんですね。
一般的に花という器官は、若い花ほど茎が柔らかく、時間とともに硬くなっていきます。
若い花を固定した時、ひどい場合はそれによって生まれた傷が進行し、花枯れにつながるという場合も出てくるわけですね。
また、固定された花は左右の動きに対する柔軟性がなくなってしまいます。
これは箱詰めした商品が輸送される時に足を引っ張ることがあるんですね。
輸送時はどうしても左右に力が働いて株全体が揺れることになります。
その時に固定された花が曲がれずに折れるということもたまに起きます。

そんな理由があって、私は支柱をどの花に使うのかはかなり気を遣います。
基本的には支柱は使わないようにしていますし、使うにしても余程の理由がない限り咲いてから時間が経った古い花に対して使うことにしています。

支柱の使いすぎは自信の無さの表れか?

親世代の人間の中には、支柱をこれでもかと使う作り手がいます。
例に漏れず、仕事を手伝ってくれる私の父親も多く使うタイプです。
「支柱が少ないとグラグラしてみっともない」というのが父親の考えです。
この考え方の違いが理由で、支柱の使い方の件で何度も喧嘩になっています。
私は「お客さんの考えや需要も変わってきているよ」と伝えるのですが、なかなかわかってもらえません。
こっちも何度も喧嘩になるのもアホらしいので、シビアなお客さんの商品は私が支柱を立てるようにしています。

先日うちの従業員さんが生花店でアンスリウムの寄せ植えを見かけたそうです。
「なんか支柱がたくさんしてあって、みっともなかった」と仰っていました。
私はこの従業員さんの考えに賛同派で、支柱を過剰に使うことは自身の商品に自信がないのかな?と思ってしまいます。

私にとって、支柱は基本的にゴミです。
ゴミはできるだけ使うべきではないし、理由があって使う場合はできるだけ最小限に留めるべきです。

まとめると

この支柱の使い方については、かなり強いこだわりを持っています。
当園で直送する商品はできるだけ自然のままでお送りしたいのです。
支柱が多いほうが良い方は自身で追加してもらったらと思いますね。
支柱の使い方はこちらの動画で説明しています。

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